本、読み終えた。藻谷浩介『デフレの正体――経済は「人口の波」で動く』
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷 浩介
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 新書
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本書目次
第1講 思い込みの殻にヒビを入れよう
第2講 国際経済競争の勝者・日本
第3講 国際競争とは無関係に進む内需の不振
第4講 首都圏のジリ貧に気づかない「地域間格差」論の無意味
第5講 地方も大都市も等しく襲う「現役世代の減少」と「高齢者の激増」
第6講 「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀
第7講 「人口減少は生産性上昇で補える」という思い込みが対処を遅らせる
第8講 声高に叫ばれるピントのずれた処方箋たち
第9講 ではどうすればいいのか(1)高齢富裕層から若者への所得移転を
第10講 ではどうすればいいのか(2)女性の就労と経営参加を当たり前に
第11講 ではどうすればいいのか(3)労働者ではなく外国人観光客・短期定住客の受入を
補講 高齢者の激増に対処するための「船中八策」おわりに――「多様な個性のコンパクトシティたちと美しい田園が織りなす日本」へ
記事目次
やっと読んだ
~~率って理解できない(頭が)
自分で考える
やっと読んだ
読むの遅すぎと言われるくらい有名な本なのではないでしょうか。藻谷さんの本は『里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く』を読んでから気にしてはいましたが、未読の本が多く読まずじまいでした。
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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そんなとき、近場のブックオフで安売りされていた本書を衝動買いして一気に読んでしまったという次第です。藻谷さんの本で有名なのは上記2冊ではないでしょうか。
何々率って理解できない(頭が)
みなさんはこんなことを思ったことはないでしょうか。合計特殊出生率とか、何々率ってよくわかんないと。私もそうなんですよ。定義を言葉で説明されても「つまりどういうことなの?」と思ってしまうんです。それよりも絶対数を年度ごとに並べてもらったグラフを見せてもらったほうが遥かに理解しやすい。それ以上の数字は私にとって高度(?)であり、理解を妨げるものなんです。
元のデータが大事
この本ではそのような少しだけ高度な数字や言葉によって、どれだけ勘違いや誤解が生じているかを論じるところから始まります。それをしっかりとしたデータで示します。次に(「何々率」だから分子と分母があるので)内訳の数字を詳しく見ることで、勘違いや誤解を完全に解き、本当に取り組むべきことを述べていきます。内容はたとえグラフを示されても理解できるものです。何故なら難しい言葉も数字も概念もないからです。簡素であるにもかかわらず、疑問に思っていたことを吹き飛ばしてくれる力強さがあります。
暴論ですが、「実は何々率って理解できなくてもよいのでは?」とさえ思えてきます。だって元のデータを見れば間違いが分かるというのが、本書の指摘なんですから。これは言い過ぎですね。グラフを理解するのに何々率という概念は必ず必要になります。つまりこの勘違いや誤解の原因は元のデータ(現実)を見ずに、そこから作り出された何々率(理想・抽象)などの定義のみで対策を組み立てるアンバランスにあるということですね。
でもなんとなく気持ちはわかります。
元のデータと言っても政府だけでなく、人口問題研究所などもあるわけで、データの種類がとてつもなく膨大だからです。そうなるとそれらを仕事道具にする専門家の総括を頼りにするわけですが、その人たちの認識が誤ってしまうと影響力は計り知れません。本当か?と思ったときに元のデータに戻れる辿り着ける能力がほしいですね。合計特殊出生率・有効求人倍率・少子高齢化などの言葉がよくわからない、不審に思っている、信用していないという方はこの本を読めばすっきりすると思います。
自分で考える
本書後半で「消費するための時間」について少しだけ触れられていました。Yahoo!の労働問題に関してFacebookで意見を投稿したところ、リプライがきて中小企業経営者の方と少しやり取りをしたことがあります。記憶がおぼろげなんですが、「給料をもらえても使う時間がないなら意味がない」ということも書いた覚えがあります。私の主張も少しは正当性があったのだと思うと、これからも多少は自分の頭で考え続ける努力が必要だと思いました。