本、読み終えた。鈴木健介『経営者は危なくなるほどよく笑う』
経営者は危なくなるほどよく笑う (光文社ペーパーバックスBusiness)
- 作者: 鈴木健介
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/09/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書目次
第1章 破綻に向かう「初期段階」
(経営者に現れる兆候 会社全体に現れる兆候)
第2章 破綻に向かう「中期段階」(経営者に現れる兆候 会社全体に現れる兆候)
第3章 破綻に向かう「最終段階」
(経営者に現れる兆候 会社全体に現れる兆候)
記事目次
・これはホラーだ
・本書の特徴
・気分が沈む
・振り返ると確かに
・これはホラーだ
2016年6月18日、『貞子VS伽椰子』が上映開始になりました。
貞子も伽椰子も世界中を恐怖で染めたキャラクターとして名声を博しています。
しかしこの日、私はもっとホラーな本を読んでいました。
それが『経営者は危なくなるほどよく笑う』です。
副題は{破産から再起した社長が教える「破産前に現れる55の兆候」}となっています。
初めこの本を見たときは懐疑的でした。
光文社がペーパーバックスでこんな本を出しているとは知りませんでしたし、表紙がなんだか安っぽく感じたからです。
すぐに半分ほど読み進んで気づきました。
それは、
- 自分の気が沈んでいること
- 登場する経営者の気持ちがわかること
- 鳥肌が何度も立つこと
私はイメージで覚えるため、悲しい描写ならそのシーンが映画のように頭に染みついて離れないようになるんです。
まさしくホラーのように。
そうしてこの本に価値があり、これからも役に立つことを感じたのでした。
営業社員のみならず、中小企業を狙う就活生にも役に立つと思います。
・本書の特徴
上にも示した通り、この本は破産しそうな or 破産する経営者の兆候を55項目挙げたものになります。
それに加えて本書の特徴を列記すれば以下の3つです。
- 追体験できる
目次でもわかる通り、およそ時系列順で進んでいきます。
{初期段階→中期段階→最終段階}
だから経営者の心理的な進展が手に取るようにわかります。
最終段階には経営者の取る可能性のあるものとして「夜逃げ」「自ら命を絶つ」ということが当然のように多くなるのがリアルです。
長期間何かに悩んで焦ったことがある方は「あぁ…」と同調すると思います。
- 探りを入れるための質問、行動が掲載されている
著者はこの本で兆候を察知したら、当たり前なんですが売掛金の回収などをしきりに求めています。
あくまで前向きな本だとしています。
そのためにも兆候が危ないものかどうか確定するための質問、行動を記してくれています。
中にはえげつないものもあります。
例えば中期段階の「家にいる時間が減る」というところ。
経営者の家族とコンタクトを取り、兆候が危ないと確定したら別の担当者をあてがって強引に売掛金の回収を迫るというもの。
別の担当者にするのは感情的なしがらみを断つため。
怖い。が正直役に立つことばかりです。
- 商工会議所の経営指導員の話が多い
自身も破産経験がある著者は現在、アントレプレナーアドバイザー。
商工団体などで講師を務めていらっしゃいます。
よって話も商工会議所職員の方の経験談などが多い。
しかし著者の破産経験や友人の話も載っていたりして、内容はへヴィーです。
経験の重みをサラリと文章化されていて脱帽です。
・気分が沈む
この本にある経営者と私、なんだか似ているような気がしてなりません。
これだ!→失敗→これだ!→失敗というループから抜け出せず、どうみても可能性の低いことにも手を出し、挙句は操鬱のように気分の浮沈が激しくなる。
最初から最後まで経営者の気持ちがわかり、気分が沈みます。
私が起業するのは危ないということですね。わかります。
・2015年度倒産件数は
8408件
私は元から大企業志向というのはなく地元の中小企業もチェックしていました。
それこそハローワーク主催の企業説明会にも足を運びました。
その時の企業とこの本の兆候をはてはめると「お?」となることが多くありました。
- 営業部長男性の顔色が悪く、無精ヒゲが伸び放題
- 説明会の時と電話の時の応対が、明らかに態度が真逆
- ちょっとしたことで怒鳴る、ニコニコする
- 事務所移転先をたぶらかす
- 会社の未来予想図が非常に曖昧
勘違いも含まれるとは思いますが、就活生もいい人間がいる会社に就職しようと必死なんです。
しかしデータはいくらでも改ざんできる。
ならそう簡単には変えられない普段の言動を観察することは自然な流れです。
これは著者も指摘していることです。
2015年度の倒産件数は8408件。
これでも7年連続減少ですから驚きです。