本、読み終えた。今野春貴『求人詐欺 内定後の落とし穴』
本書目次
1 求人詐欺 典型的な6つのケース
2 こんな求人票がアブない
3 求人詐欺の見抜き方
4 求人詐欺の対処法
5 オワハラに負けるな
6 なぜこの業界は、労働者騙しが横行しやすいのか
7 日本の労働市場に求められる新ルール
記事目次
前時代的だが現代的
基本中の基本
徹頭徹尾、求職者のため
巻末の無料労働相談先と資料
前時代的だが現代的
本には奥付という部分があります。
本の最後にある出版年月日などが書かれているところです。
私の手元にある本書の奥付には「2016年3月15日 第1刷発行」とあります。
かなり最新の本だということがわかります。
しかし一番初めの「1 求人詐欺 典型的な6つのケース」で語られる実例は現代の労働環境とは思えません。
前時代的な労働地獄、そしてそれを維持するカラクリは現代的です。
本書の前半はその地獄を紹介して脱出する方法、中盤はそもそも入らない方法を教えてくれます。
後半はよくある事情を記しています。
『神曲』で地獄から救い出してくれる道案内役はベアトリーチェですが、本書の道案内役はPOSSE代表の方。
POSSEとは労働相談を行うNPO法人です。
基本中の基本
基本的には実例、実情、対処、疑うべきキーワードが書かれていて参考になります。
ただ実情に関しては基本中の基本となっている問題を書くにとどめています。
法律の実情についても少しだけありますが、現状を示すために引用される程度であり、実際に武器として用いるためとしてではありません。
そこは専門家の手に託してあります。
代わりに簡単な時給の計算方法を解説していますので、自分の労働実態を知る良い尺度を与えてくれます。
徹頭徹尾、求職者のため
基本中の基本を中心に書いているにしても、全ての労働者がアクションを起こすには十分な内容です。
一方で裁判沙汰になると立証責任は労働者側にあること、企業側は社労士を立てて長引かせようすること、そして結果判決が出るまでのコストは労働者側になってしまうという理不尽な現実もしっかりと教えてくれます。
企業側(政府)にとって不都合なことしか書かれていません。
引用すると以下のようなことが書いてある。
求人詐欺にまつわるルールとしては、職業安定法65条がある。そこでは「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者」には罰則が与えられるとされている。
ところが、所轄の厚労省によると、この法律が実際に適用された前例はないという。
(省略)
だが、そもそも求人票の「形式」を厳格に規定していれば、このような問題は起こらない。
(省略)
残念ながら、国の怠慢は否定できないだろう。
巻末の無料労働相談先と資料
最後に巻末に掲載されている相談先と資料を掲載させてもらいます。
気になる方はチェックを。
■無料労働相談先
NPO法人 POSSE 労働相談を中心に、若者の格差・労働問題に取り組むNPOです。
■無料ダウンロード資料(PDF)
無料冊子第2弾 「企業の募集要項、見ていますか?―こんな記載には要注意!―」を公開しました! | ブラック企業対策プロジェクト
無料冊子第3弾 「内定・入社前後のトラブル対処法」・「新規学卒者の採用内定時における労働条件の明示に関する政策提言」を公開しました! | ブラック企業対策プロジェクト