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本、読み終えた。佐々木毅『政治学の名著30』

 

政治学の名著30 (ちくま新書)

政治学の名著30 (ちくま新書)

 

 

 

本書目次 ※一部省略・書き換え

1政治の意味

プラトンゴルギアス

マキアヴェッリ君主論

ヴェーバー『職業としての政治』

 

2政治権力

アリストテレス『政治学』

ホッブズリヴァイアサン

ロック『政府論』

モンテスキュー『法の精神』

バーク『フランス革命についての考察』

 

3政治と徳

プラトン『国家』

孔子論語

 

4政治と宗教

アウグスティヌス神の国

カルヴァンキリスト教綱要』

ロック『寛容書簡』

 

5政治と戦争・平和

トゥーキューディデース『戦史』 

孫武孫子

カント『永遠平和のために』 

クラウゼヴィッツ『戦争論』

 

6政治と経済 

アダム・スミス国富論』 

ヘーゲル『法の哲学』 

マルクスエンゲルス共産党宣言』 

ロールズ『正義論』

 

7民主政論

ルソー『社会契約論』 

ジェイ、ハミルトン、マディソン『ザ・フェデラリスト』 

トクヴィル『アメリカにおけるデモクラシー』

J・S・ミル『代議政体論』

 

8歴史の衝撃の中で

福沢諭吉文明論之概略』 

孫文三民主義

ハイエク『隷従への道』

アレント全体主義の起源』 

丸山真男『(増補版)現代政治の思想と行動』

 

 
 本書はタイトル通り、政治学における名著を30冊紹介するものです。
ちくま新書らしく、総ページ数は220とコンパクト。
ということなので政治学の名著を1冊ごとに事細かく解説するものではありません。
筆者もまえがきにおいて「あくまでも古典や名著への接近路を作ること」を本書の特徴として挙げ、興味が湧いたら「名著を手に取ること」を望まれています。
 
 そのため、名著の紹介はその名著を名著たらしめている、有名な個所を解説することに止めています。
他方で、各々の紹介文には共通する特徴が1つあります。
それは名著と歴史を関連付ける、あるいはそれを匂わせるような書き終わりの仕方をしていることです。
 たとえばルソーの『社会契約論』の紹介文の最後はこうです。
「後年、この一般意思の超越性が独裁制の口実に使われようとは彼も想像しなかったに違いない」
名指しされてはいませんが、これは明らかにヒトラーの独裁を指しています。
自分は国民投票によって選ばれた一般意思なのだから何も問題はないというものです。
このように名著を名著たらしめる歴史とのつながりを示してくれています。
初学者にとっては興味が湧くキッカケになりますし、名著を読み込む意義を教えてくれます。
よって紹介文の構成は、
  1. 簡単なイントロダクション
  2. 解説
  3. 歴史と絡めた締めくくり
となっています。
 
 名著には何が書いてあって、どういう理由で名著になっているのか、このようなことを知りたい方にオススメです。
簡単なので政治学入門としても役立ちそうです。
ただし、名著の筆者の人生といった込み入ったことにはほとんど触れていないため、名著を紹介することに徹したのが本書であると言えます。
なのでそこまで知りたい方は他の書籍に頼ることになります。