本、読み終えた。堀江貴文『多動力』
本書目次第1章 1つの仕事をコツコツとやる時代は終わった第2章 バカ真面目の洗脳を解け第3章 サルのようにハマり、鳩のように飽きよ第4章 「自分の時間」を取り戻そう第5章 自分の分身に働かせる裏技第6章 世界最速仕事術第7章 最強メンタルの育て方第8章 人生に目的なんていらない本記事目次1時間半で1400円まとめると「我慢すんな」?許された…?結局わからないことの真偽は自分が調べるしかない両輪で回す追記2017/06/06
自己啓発的な本を、しかも新書を買うって初めてかも。
1時間半で1400円
本書はなんか気になって久々に書店で購入しました。最近は図書館に頼っていた面もあったので。登山関係の本も一緒に買ったのでお会計は6200円くらい。高いなー。服なら絶対高いって思うのに、本なら「安いじゃん」って思っちゃう。
で、今回のホリエモンこと堀江さんの本は1400円+税。スラスラ読めて1時間ちょい。余裕をみても1時間半くらい。時給としてみると1時間1400円は高い。今働いてるところよりはるかに高い。
内容としては人によって態度がはっきりわかれると思います。「んなことはわかってんだよ!」とか「なるほど!そうか!」とか。私の場合は「…いいのか?いいんだな?」です。
まとめると「我慢すんな」?
書かれていたのは個人的に改変してまとめると、
- 楽しくないものはやらなくていい。楽しくないものをできるだけ排除しろ。それで楽しいものが残らなかったら引っ越すなり退職するなりしろ。楽しくないのは人生じゃねぇ。
- 自分の時間を確保しろ。できないなら引っ越すなり退職するなりしろ。
- 邪魔する奴にいちいちかかわるな。電話よこすなキレるぞ。
- 言葉も行動もコンパクトかつスピーディーにやれ。長いのは無用だ。
- 飽きるほどにハマれ。飽きたらやめろ。その先は続けてもあんまり意味ない。たくさんハマったらいろんなことに詳しくなって動ける領域が広がる。そうしたら飽きたものの先が見えるようになってる。
- 寝ろ。健康じゃないと始まらねぇ。
こんな感じ。堀江さんは感情が邪魔してるから躊躇するんだと言います。
許された…?
私も飽きっぽい。ずっと続いているのは読書、登山、動植物観察くらい。バイオリンを買って弾きまくったときもあればゲーセンで月3万円は使っていた高校時代。哲学や法学、社会学、心理学、政治学の本を読みまくったり、今はPCの容量を食う存在でしかない小説を書いていた大学時代。金を無駄にした。
その一方で「これは~~~ですよ」というと「多趣味ですね」とか、「博識ですね」とか言われることがあります。残るものはあった。
けど自分ではハマってすぐにやめる程度の知識でしかないのでぶっちゃけ本気で「にわかです」「知ったかです」って言います。客観的には評価が低い。すぐやめたりするからです。だから本書が少し免罪符になっているように思います。
結局わからないことの真偽は自分が調べるしかない
私は今スポーツ用品店でフリーターしてますけど、接客は慣れれば簡単です。商品知識ゼロの領域でもお客さんも素人なら優位に立つことができます。なぜか?答えは簡単。お客さんは自分で全然調べてないことが多いから。暇な時間に商品のパッケージを熟読したり、ネットで調べるだけ。あとは個人のトーク力次第。これで「この人の言うこと聞いて、買おう」ってなったら立派な従業員です。
もちろんハマって数年経っている人には対抗できない。それは上記で箇条書きにした通りです。だから従業員の言ってることを信頼したい、あるいは担保したければ専門店に行ったほうがいい。スポーツ用品店ではなく個々のスポーツ専門店に行ったほうがハマっている従業員がいる率は跳ね上がる。かならずしも量販店のほうがいいというわけではないのです。そしてそういうところに行き着くためにも情報収集しなければならない。それすらやってないなら質問攻めにしたほうがいい。質問攻めにもできなかったら買わないか、多少の自己責任で買うしかない。
なので本書では「わからないことは聞けばいい」と一口に言いますが、環境によると思います。人は質問されればなんとか答えようとします。しかしそれが間違っていたからといってすぐには責められないと思います。少なくとも自分でも調べてみたが、という証言がほしい。
社会全体でみたら、「わからないことは聞けばいい」は足らない場合もあります。人に道を尋ねるときも3人に聞けっていいますし、会社の上司の指示も複数人に聞けば後々トラブルにならないことと同じです。
両輪で回す
出版社にとって堀江さんのような人は貴重でしょうね。インタビューして書き下ろして本出せば売れる。で、堀江さんは「同じことばっかり聞くな」「インタビューなしでも本は売れる」「過去の発言を切り貼りすれば本は出せる」みたいなことも本書で語っています。
ここで気になるのは、オンリーワンになるには堀江さんの言うようなことは必要になるのでしょうが、不況下では堀江さんが嫌うような仕事で世の中の多くは回っているということでは。そして好況時でも似たようなことをする人たちがいることで量的に賑わいを見せる。どちらとも儲けになる。相乗効果にもなる。
だからといって結局世の中バランス、とか言っちゃうと元も子もない。それに私はどちらかというと本書に書かれていることをやりたい派です。
登山初心者の頃、低山縦走中に少しの間遭難したことがあります。低山のほうが見通しが悪く、道が判明としないことが多いのです。当時は読図技術もなく、山座同定は言葉しか知らなかった。太陽は沈みそうということしかわからなかった。その時はとりあえず来た道を再確認することから始めてどうにかなりました。私はイヤな仕事をやるくらいなら、自分で決めて登った山で遭難しているほうがいいって思ってます。
あと電話はイヤ。できるだけでたくない。ショートメールならいつでも返信できますが、電話は今しかない。応答するかどうかわからないのにかけたほうは数十秒ムダにする。しかも作業を中断して。やらなくていいじゃない。連絡が届いた時点でその人の責任になるのは電話でもメールでも同じだと思います。
ここまで長々と語ってきましたが、この本はいい意味でナマモノかなと思います。一度つまんだらもういらない。もうこの本捨ててもいいとさえ思える。賞味期限が1日しかないような。そんな感じ。それが1400円。
これはつまり、誰もが秘めている気持ちを代弁した証でもあるわけです。誰もが欲しがる言葉を言ってくれたのです。
追記2017/06/06
堀江貴文『多動力』がアマゾンの売れ筋ランキングで1位を取りました。原因としては堀江貴文という著者名と、発達障害を連想させるタイトルと、我慢しながら働いている多くの人に響いた結果と、ヤフーなどで宣伝されたからなのでしょう。
ネットやヤフー、アマゾンのコメントでは散々ななじられ方ですが、同じ世界で生きていて普通よりもお金を稼ぎ、かつ本人が普通じゃないということはまず認めないといけないでしょう。
本書は主観的に生きることに力を注いだことが前面に伝わるものでした。しかしそんな人だけでは世界は回らないのも事実。自分が嫌だなと思うことを他の人がやっているから世の中は回っているわけで。今回の姿勢は賛否両論になるのは仕方ない。
一方、嫌だと思うことを好きだという人もいます。そこから主張が始まる。個人を認識する。だから、嫌はイヤ、好きはスキと言って何が悪いのでしょうと思うのです。
本書が役に立たないと思う人は大勢いるでしょう。だからといって本人を攻撃しても何にもなりません。本を攻撃しても何にもなりません。面と向かって言わない限り、自分にしか響かないでしょう。その反響は非常に嫌な感じです。自省ともとれますが、それも好き嫌いにわかれるでしょう。