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本、読み終えた。藤崎憲治『昆虫未来学 「四億年の知恵」に学ぶ』

 

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)

 

 

 

本書目次

第1章 昆虫とはどんな生物か
第2章 昆虫たちのみごとな進化
第3章 昆虫が群れるわけ
第4章 生態系における大きな役割
第5章 地球温暖化センサーとしての昆虫
第6章 昆虫と人類の闘い
第7章 害虫を上手にコントロールする
第8章 バイオミミクリー革命と昆虫

 

 もう一度中学生からやり直せるなら、スポーツで汗しないで、昆虫研究者の道を歩みたい。 
 小学校時代は人間に関してはケンカの記憶しかなく、一方で虫はナデナデしていました。三角コーナーでご飯粒を一生懸命に食べているゴキブリを見かけたときは、「かわいい」と思ってしまったものです。小学生の時分は身近な昆虫の大半は解剖しました。それくらい虫は好きです。昆虫を捕らえると、肉眼で見てもわかるように、虫の構造は複雑です。「どうしてお前はそんな姿・行動をしているんだ?」と思うのが楽しい。たとえば、ナメクジは貝の仲間。体の真ん中に透けて見える白いのは貝の名残だということを知ると、不思議に思わずにはいられないでしょう? 
 本書はそういった趣味嗜好的なものよりもかなり踏み込んだ学術的な内容です。昆虫の謎を説明するのに全く知らない化学物質は出るし、学名でしか出されない昆虫が登場するしで、昆虫に興味が一切ない方はかなり苦痛になる読み物だと思います。それでも「どうしてアメンボは浮くのか?」
「アリやハチなどの社会性を知りたい」
「どうやって<湧いて出る>ことができるのか?」
といったことが知りたい場合は、これほど化学的事実に則った説明はありません。
  ただ、引き合いに出される昆虫が一般的でなく、また多岐にわたります。そのため、親近感は湧きにくい内容です。しかし、これに書かれている個々の昆虫が持っている知恵にただただ驚嘆することは保証します。この本は昆虫の知恵にビックリ仰天するとともに、昆虫の知恵は徐々に人間社会に役立つ形で還元されている。だから生物多様性は私たちのためにもなりつつある。まとめると、そのような内容です。