本、読み終えた。仲谷 鳰『やがて君になる』7巻まで
アニメを観て漫画を大人買いした人も多いことと思います。
私もその一人でして、本屋の棚に穴を開けました。
でも次巻が発売されるのは約半年後。
なんてこったい。
待ちに待った日、買いました。
これを買うとき、顔が赤くなるのは内緒。
今回の7巻は、最終巻8巻の前巻でもあり、今まで想いを引っ込めていた佐伯沙弥香が動きます。
また大人百合のお二人の馴初めも知ることができる貴重な巻です。
この作品は百合好きじゃなくても読んで損はないと思っています。
というのも、昨今好きとかどうこうではなくそもそも好きな人がいない状態が常だという人が大勢います。
出会いがない、金がないの他に現代の精神性も考慮されなければならないご時世になりました。
個人的に考えるにこれは無名性と関係があるのではないかと。
ネット社会が個人の脳にまで入り込むようになり、Facebookこそ初めは本名を名乗るように義務づけていましたが今はどこ吹く風かとなりました。
ネットに残る文字は自分がタイピングしたこと以外は誰が打ったかわかりません。
『啓蒙の弁証法―哲学的断想―』には名前がない方が商売がしやすいことについて言及があります。
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フランクフルト学派 -ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ (中公新書)
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たとえば、私はこのブログを「私が」書いていると誰にも言っていません。
もし本名がバレたらすぐにアカウントデータをこれでもかと消しにかかるでしょう。
私以外にも。
でも本名がバレておらず、せめてあと倍くらいアクセス数があったら、「収益化も望めるのかな?」と考えを一転させるでしょう。
私以外にも。
自分が隠せるほうが動ける
現代における病は、かつて神は隠れているものでしたが今度は人間という個人が隠れてしまったというものです。
神は隠れつつも人間を選んでいましたが、人間は隠れつつ誰かを選べるでしょうか?
さて『やがて君になる』に戻ると、
「好きになることは選ぶこと」について登場人物全員が考えます。
この作品では好きになるということより、選ぶことの純粋さを感じます。
好きになるというのは、誰にも邪魔されない選択です。
様々な出来事で選択の幅が狭まっていく人生の中で、その選択は非常に神聖です。
忘れていた、絶対に自由な選択をこの作品は描いています。
おすすめのひとつですね。
あ、言い忘れていますがこの漫画は百合漫画です。