On bullshit

読書感想文、社会評論、その他を自分勝手に。

思ったこと 感じたことを そのままに

本、読み終えた。ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』

 

車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

 

 

 

 ヘッセの著作の中でこれが日本で一番売れています。ブックオフでも108円で売られているのをよく見かけますので、手に取ってみてほしいと思います。これが日本で売られているのは、おそらく主人公のハンス・ギーベンラートと日本における社会的境遇が一致するからでしょう。

 
 自然が好きなハンス・ギーベンラートは猛勉強の末、選ばれしものだけが入学を許される神学校へ進学、自信を高めます。しかしそこは今までの生活とは違って、更に戒律だらけの生活でした。耐えかねて学校を去ります。今までの頑張りが無価値になりますが、工場で働いて再出発を目指す。という物語です。日本でも大学の講義で学んだことは、仕事で役に立たないなんて言われます。これが自分の境遇と重ねることができるのでしょう。
 
 これからの就活市場での必要人材は、自分の学部学科をしっかりと勉強して、それを企業に役立つようにしている人だと思います。入学してサークルなどの活動をして卒業しただけの人ではない。そう思います。というかそうなってほしいです。詰め込みはやはりよろしくありません。そして理系重視ならますますそうなるでしょう。
 
 『車輪の下』は若いころに体験したことのすべてが入っていると思います。自然の不規則と人間の戒律、友情と喧嘩、偏見とその解消、遊びと労働、性への目覚め……etcがこれには入り混じる。
 
 子どものころの右往左往を読みたいとき、読み返しています。もう何度読んだかわかりません。それでもいつも瑞々しく文章を読めるのは、すごいことです。