本、読み終えた。ジョージ・オーウェル『動物農場』
- 作者: ジョージオーウェル,George Orwell,川端康雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/07/16
- メディア: 文庫
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本書目次動物農場――おとぎ話談話 一九八四年・オーウェルオセアニア周遊紀行権力と国家後記にかえて本記事目次社会主義国家の作り方昔よりマシ……だったっけ??社会主義の基本を体験する最後に
全ての動物は、平等であるしかし、ある動物は、ほかの動物よりももっと平等である(130ページ)
社会主義国家の作り方
さてこの本、『動物農場』というタイトルですがどんな話でしょう。農場における牧歌的物語?それとも経済?農業?そのどれでもありません。恐ろしくも、まだ注目を浴び続ける、社会主義が醸成される過程を記した物語です。物語は動物の寓話小説なんですが、逐一人間に当てはめれば、現在の貧しい世界の経済状況とそっくりな面がいくつも確認できるのです。
どうしてか。今や世界は保護主義、自国第一主義が旺盛になっていますが歴史はそれを経験しています。するとどうなったか。ヒトラーやスターリンを生み出したのでした。当時、ソ連はなんて素晴らしい国なのだろう。社会主義はなんて素晴らしく、人類を幸福にするのだろう。と、言われていました。日本も含めて。しかし、フタを開けるとどうでしょう。対外的に発表されていた農業生産高は全くのフィクションで、その代わりに万を軽々と超える死体が山になっていたのです。
またやはりと言うべきか、ブラック企業にも通じる要素が大量に散りばめられています。人の記憶と恐怖心を操作する。寓話なのに恐ろしいです。社会主義の本はチラホラと読みましたが、ここまで恐怖を感じたことはありません。
昔よりマシ……だったっけ??
とある農場で人間に対して反旗を翻し、乗っ取りに成功した動物たちが主役です。これでもう一切が自由!もうお腹を空かせることも、ムチで打たれることもない!しかしみんなで上手くやっていくには仲良く分け合うことが重要です。そこで豚の中の一頭である賢いナポレオンがその指揮を取ることになります。ところがそこから全てが変わっていってしまいます。情報操作、印象操作、記憶の改竄、ルールの植え付け、あの手この手です。
社会主義の基本を体験する
私有財産がいけない。全てを共有物にして管理しよう。その任は私が負う。これが最終的にはどうなるか。それは物も命も管理のために利用されるということです。この小説でも沢山の動物が犠牲になります。一体どれだけ死んだか忘れてしまいました。馬、羊、鳥、ガチョウ……とにかく沢山です。そして指導者は「同志諸君!」と呼びかけて、犠牲を対外勢力のせいにしたり、犠牲を無駄にしないためにも偉業を成し遂げん!と激励するわけです。社会主義を感覚的に体験するのなら、本書は適格でしょう。
最後に
第九章を読んでキレそうになった。いやキレた。この小説を一章でも読んだら、私と共にこう言うでしょう。
「この豚がぁ!!」
こんなことは、幻想水滸伝2をプレイする以外では言わないと思っていましたが、言ってしまいました。懐かしいですね~。またプレイしたいです。
本書は以下の本でも解説があります。