On bullshit

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本、読み終えた。ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)』

 

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源

 

 

 

国家はなぜ衰退するのか(下):権力・繁栄・貧困の起源

国家はなぜ衰退するのか(下):権力・繁栄・貧困の起源

 

 

 

目次(上巻)

第1章 こんなに近いのに、こんなに違う
第2章 役に立たない理論
第3章 繁栄と貧困の形成過程
第4章 小さな相違と決定的な岐路―歴史の重み
第5章 「私は未来を見た。うまくいっている未来を」―収奪的制度のもとでの成長
第6章 乖離
第7章 転換点
第8章 領域外―発展の障壁

 

 

 上巻の感想です。
ただただ面白かったです。
この本は国家が衰退する原因を地理や文化・知恵などではなく制度に求めるものです。
そのために世界各国の歴史を集め、解説しています。
ときには紀元前の国家を、またあるときはアジアを、南米を、北米、ヨーロッパを網羅していきます。
上巻はひたすらその繰り返しになります。
とはいえ本文総ページ数は322とコンパクト。
 前半で国境が違うだけで貧富の差が大きい国の現状の解説をします。
そして従来語られてきた衰退原因の学説を否定します。
そこから続々と世界中の国家をみていきます。
論より証拠という感じで情報の緻密さに脱帽です。
現代のビジネス本らしい文章でとても読みやすかったです。
 
 感じた特徴としては
①世界史の知識が生きる。
 学生のときに勉強した世界史の知識がフル活用できます。
南米でもアフリカでも、勉強していれば懐かしいと思う名前や単語がたくさん出てきます。
世界史の知識が定着していれば、この本の理解度は格段に上がると思います。
 
②キーワードは制度とインセンティヴ
 制度とインセンティヴに関する国家の事情が多く語られます。
個人が頑張ることで得をする、成長できるという仕組みが国家になければ誰も頑張れないということを世界各国の歴史から引用しています。
 
③変化という恐怖
 この本を読むと国は変わるチャンスを経験するということがわかります。
しかし国王などが重視するのは中央集権の維持。
国が成長するチャンスを捨てることになります。
これが多い印象を受けました。
 
 下巻も世界各国の例を出しているようで、同じようなことが語られている様子。
しかしより理論的なもの、志向的なもののようです。
これから下巻を少しずつ読んでいきます。