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On bullshit

読書感想文、社会評論、その他を自分勝手に。

思ったこと 感じたことを そのままに

本、読み終えた。竹下賢・角田猛之・市原靖久・桜井徹 編『はじめて学ぶ 法哲学・法思想』

読書 哲学

 

はじめて学ぶ法哲学・法思想―古典で読み解く21のトピック

はじめて学ぶ法哲学・法思想―古典で読み解く21のトピック

 

 

 

本書目次 *一部省略

1 基礎概念(主体 国家 思考)

・権利 right 主観的 ius とは何か?

ホッブズリヴァイアサン

イェーリング『権利のための闘争』

・人格 person 人格はどこにいるのか?

ケルゼン『法と国家の一般理論』

・責任 responsibility なぜ責任を問うことができるのか?

アリストテレス『二コマコス倫理学

カント『純粋理性批判

 

・自然法 law of the nature 法は「つまらぬもの」か?

ホッブズリヴァイアサン

ロック『統治二論』

・法実証主義 legal positivism 法をすべて強制規範なのか?

ハート『法の概念』

・国家 state われわれは、なぜ従うのか?

イェリネク『一般国家学』

・法の支配 rule of law 法の支配を妨げている原因はどこにあるのか?

ホッブズ『市民論』

ロック『統治二論』

 

・法的思考 legal thinking 法律家らしく考えるとはどのようなことか?

ヘック『法獲得の問題』

フランク『法と現代精神』

・司法裁量 judicial discretion 裁判官はハード・ケースでどのように判断を下すのか?

ドゥオーキン『権利論』『法の帝国』

 

2 法理念(正義 支配 共生)

・古典的正義論 the classical theory of justice 正義はどのように語られてきたか?

アリストテレス『二コマコス倫理学

・現代正義論 the contemporary theory of justice どのような平等が大事か?

ロールズ『正義の理論』

セン『不平等の再検討』

 

・自由 liberty/freedom 「法の下での自由」はどのようなものか?

ハイエク『自由の条件』『法・立法・自由』

・デモクラシー democracy 多数者の意思は常に正当であるのか?

ルソー『社会契約論』

トクヴィル『アメリカのデモクラシー』

 

・寛容 tolerance 多数者と少数者との関係をどう捉えるべきか?

ウェーバープロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』

・平和 peace 正義より優位に立つのか?

ラートブルフ『法哲学

恒藤恭『法理学』

 

3 法と倫理・文化(文化 倫理 差異)

・宗教 religion 近代そして現代の法は倫理や宗教から自由でありうるか?

ホッブスリヴァイアサン

モンテスキュー『法の精神』

・刑罰 punishment なぜ刑罰制度は必要なのか?

ベッカリーア『犯罪と刑罰』

ロック『統治二論』

 

・生命・先端医療 life and medical technology 自由はなぜ規制されるのだろうか?

ミル『自由論』

バーリン『二つの自由概念』

・環境 environment 持続可能な発展とはなにか?

スミス『国富論

 

ジェンダー gender <女>は社会的構築物である?

ボーヴォワール『第二の性』

バトラー『ジェンダー・トラブル』

多文化主義 multiculturalism 多様な文化を尊重するとはどういうことか?

キムリッカ『新版 現代政治論』

 

 

 タイトル通り、法哲学・法思想を学ぶための入門書。
構成がとてもキッチリとされていて、読みやすかったです。
 
 理由は3つ。
①本書は基礎概念、法理念、法と倫理・文化という3部構成ですが、これらにそれぞれ総論が設けられており、
「これからこういう内容を話します」
というフレームワークを示してくれています。
すぐさま難しくなるのではなく、ワンクッションがある。
 
②本書は名著の内容を紹介する形で法哲学・法思想を学ぶことができるが、各学習内容の最後に、
「用語解説」
「入門のための文献」
「より深く学ぶための文献」
という項目が付け加えられています。
しかも文献に関しては一言ではありますが、どういう内容かを書いてくれています。
本格的に文献に触れる用意がある。
 
③難しい言葉遣いが見られません。
各学習項目の序盤は至極一般的な内容から語り始めるので、学習内容に慣れることができます。
また文献からの引用が多分に行われますが、ほとんどが理解しやすい文章になっている日本語訳が選ばれており、文献に平易に触れることができます。
名著に部分的に触れて、法哲学・法思想のまさに入門を果たすことができる。
 
 大学の講義で教科書として使われているのを見たこともあり、法学部だけでなく、すべての初学者が学ぶのにオススメです。
個人的に興味が湧いたのは正義・支配・共生・倫理・差異を扱うところでした。
ロールズやセン、トクヴィルウェーバーボーヴォワールなど、今なお注目され続ける人たちの名著を垣間見、ためになりました。