本、読み終えた。印南一路『意思決定トレーニング』
本書目次
第1章 あなたはなぜ優柔不断なのか?
(優柔不断は性格とは関係ない優柔不断状況と安易な対処法)
第2章 本当によい決め方とは何か?(決め方を決めるための大前提 直観的な決定ルールとその問題点
すべての基準を考慮した決め方とは? 決定ルールの決め方を考える)
第3章 実践編―厳密に中古車を選ぶ(まずメタ判断する 評価基準を整理する 評価をする 具体的に決める)
終章 より難しい決断に向かうために
どうしようかな……。そう思っている間に先を越されて損をしてしまうことがあります。自分はイメトレをすると必ず失敗するビジョンが浮かんでしまいます。成功するイメージを思い浮かべても、どこかで支障が生じます。思考でもイメージでもネガティブ思考。
「自分って優柔不断だなぁ……」
しかし本書はそれを否定します。
本書は「意思決定が弱いのは性格の問題ではない」と断言します。意思決定は悪魔で状況把握や分析の仕方の問題であるとして、その方法を解説してくれます。
その基本は、
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メタ意思決定~どれだけ重要か~
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問題設定~何が問題か~
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選択肢の発見・生成~どれだけの可能性があるか~
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選択肢の評価~基準やルールの確立~
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選択~実行~
というフローを適切に経ることだとしています。
本書の中では以上の5項目に関してもう少し詳細な説明がなされていきます(消去法や足切りルールの運用、選択肢の評価モデルなど)
実際の例を元に語られていくのですが、ちょっと言いたいことがあります。それは例が中古車選びというたった一つの例しかないということ。つまり『意思決定トレーニング』というタイトルでありながら、トレーニングの数をこなすには実際に自分の身近な現実を用いることが必要とされていることです。
しかしながら、その中古車選びの例はとても現代的です。検索でよく出会うヤフー知恵袋を実際に引用しています。かなり現実目線であることがわかります。またメーカーや車種も現実に存在する車をリストにして詳細に思考していきます。最初から最後まで現実的な意思決定の考え方を見せてくれますので、これを読めば、実戦練習にも応用できそうです。
ただやはり自動車選びのことに多くのページを割いていますので、本書のタイトルを敢えて代えさせていただくなら、『車の選び方~意思決定論の観点から~』などとしてもよさそうです。なぜなら、意思決定の基本的な知識の整理には役に立つと思いますが、車選びという例に終始してしまっているからです。意思決定論それ自体を学びたいなら他の書籍に頼るべきでしょう。よって本書は、「意思決定論は勉強したが実際のあてはめ方がよくわからない」という方にオススメすることになります。