On bullshit

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思ったこと 感じたことを そのままに

本、読み終えた。佐藤統『「便利」は人を不幸にする』

 

「便利」は人を不幸にする (新潮選書)

「便利」は人を不幸にする (新潮選書)

 

 

 

本書目次

第1章 欲望と、技術の進歩
第2章 三月一一日の刻印
第3章 原子力ムラへ架かる橋
第4章 「便利」は共同体を崩壊させるのでしょうか?
第5章 何もなくて豊かな島の理由
第6章 不快なものの必要性
第7章 既得権益と透明性
第8章 パッケージ化した科学技術の外側

 

 3・11によって衝撃を受け、職業的罪悪感も抱いたという筆者は放射能汚染と社会の関係について積極的に発言するようになったといいます。そこから抽出されたエッセイがこの本です。3・11を語った後、便利でなくともやりくりしている例や今後の社会について、と移行していきます。 
 世の中どんどん便利になっていくスピードが速すぎて、そこまで便利にならなくてもいいんじゃないの?思ったことはあります。たとえば食品ロス。食品ロスとは食べられるのにもかかわらず、様々な理由で廃棄される食品を指します(外箱が壊れただけとかが理由)
日本の食品ロス量は500~700万トンといいます。2013年は642万トンです。一方で食べ物にも事欠く困窮者がいます。現在「フードバンク」という法人が食品ロスを回収し、困窮者に配給する活動を行っているようです。 
 世の中便利になったなんて言えません。便利になった分問題ができたという認識が必要ですし、便利にするものがどのような影響を及ぼすのか、協議する必要がある。筆者はそのような話し合いの場が日本においては少ないと指摘します。 
 科学技術が進歩しないというのはあり得ない話で、それが人間社会に介入しないのもあり得ない話です。筆者はあとがきで、(便利な科学技術が)直観に合わなくても、不愉快に思っても受け入れるしかないと漏らしています。