本、読み終えた。V・S・ラマチャンドラン『脳の中の天使』
本書目次序はじめに――ただの類人猿ではない第1章 幻肢と可塑的な脳第2章 見ることと知ること第3章 うるさい色とホットな娘――共感覚第4章 文明をつくったニューロン第5章 スティーブンはどこに? 自閉症の謎第6章 片言の力――言語の進化第7章 美と脳――美的感性の誕生第8章 アートフル・ブレイン――普遍的法則第9章 魂を持つ類人猿――内観はどのようにして進化したのかエピローグ謝辞原注参考文献本記事目次興味を引いたところ幻肢言語と口の動き
ラマチャンドランは現代の脳科学において世界的な有名人の1人です。
(Vilayanur S. Ramachandran, 1951年~)
あの有名な「ブーバ/キキ効果」の命名者でもある。
なぜ人間だけユニークなのか?読めば読むほどそれを実感する内容です。患者の症例を詳しく述べて語られており、決して学術オンリーな文章になっていないのが読みやすいです。
興味を引いたところ
幻肢
欠損し、ないはずの手足にしびれや痛みを感じる現象のことです。失った腕の感触を顔で知覚できる患者の話はとても不思議です。そして、それでも腕を存在させようとする脳の可塑性に驚かされます。この本はそういう驚きの症例が多く紹介されます。
痛みなどの現象を解消させるために、存在する方の手足を上手いこと鏡に写せば、症状が軽減するという治療法も不思議な話です。
言語と口の動き
口の動きと言葉の意味は関連性があるというものです。たとえば日本語で言えば、「大きい」と「小さい」を比較するとします。大胆に口を動かせば、「大きい」は「おお」で上下に口を開き、「きい」で左右に開きます。
(-O-)(ー皿ー)
これは「大きい」という言葉を意味の具体化へ向かわせようしていると言えます。
一方、「小さい」は「大きい」の「きい」よりも、舌が口の中を狭めるような動きになっています。
(ー皿ー)(ーoー)(ー皿ー)
著者は世界の多くの言語にも、このような関連性が見られるとしています。
その他にも、著者が挙げる「美の普遍的な八正道」や、言葉は理解できるのに話すことが困難な脳など、気になる脳の現象が満載です。本文は400ページほどありますが、新しい見方を与えてくれる良いものでした。