On bullshit

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哲学の勉強の仕方。その1。

目次

●哲学を学ぶのが難しいワケ

①言語の問題

②文章の問題

③基準の問題

●日本語の哲学が難しくなった背景

●①②③に対する返答

●まずは哲学史

●最後に

 

 

●哲学を学ぶのが難しいワケ

 なんだこれ……?となるのが日本語で学ぶ哲学ですよね。

 

言語の問題。

 

知らずに突っ込むとト・アペイロンとかア・プリオリとかが説明なしでズバズバ出てくる。

文章の問題。

日本語なのに一体何を言っているのかわからない。一回読んでもわからないアレ。

基準の問題。

哲学史として理解するのか、世界史として理解するのかで表現は変わってくる。あるいは時代、主要な論争テーマといった切り口がある。

その理解がなく、哲学者あるいは哲学思想に対して断片的にそのまま読み進めてしまう。

 

●日本語の哲学が難しくなった背景

・かつて日本の哲学は海外の言葉をそのまま使いこなすことがカッコいいという風潮があったらしく、そのまま言葉が流用されている本を多く見かけます。

・あるいは変に翻訳して勘違いされたくないという思惑があります。最近の本でもその名残があります。

・あるいは難しい言葉を使うことによって、権威などを高める目的がありました。哲学者の中にもそういう人が少なからずいたようです。

 

●①、②、③に対する返答

し か し

①ト・アペイロンは「無限なるもの」という意味だし、ア・プリオリは「先天的」という意味で読み進めればほとんど問題ないんです。

それでもそのまま用いていることが難しくしています。

もちろん哲学者自身が言葉を設定し、定義をしているものも多いです。その場合は哲学者の洞察を見守るしかありません。逆にそれを乗り越えれば、かなり有利です。

 

②日本語の「理性」は英訳すると「reason」、

悟性は「underatanding」だ。 

つまり英語を通して悟性を解釈すると「理解する能力」とすることができる。カントの『純粋理性批判』はそうでした。

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英語で読んだほうが理解が進む場合があるということも覚えておいて損はありません。

訂正:ただし、英語がいつも正しいということではありません。

 

哲学史なら『哲学史』と名のつく本をペラペラめくってみましょう。

世界史的に学びたくても『哲学史』と名のつく本を読んでみましょう。中には哲学を紹介するとともに、科学技術の発展やキリスト教の歴史も付け加えてくれているものがあります。

個人的な意見として近代の哲学史を読んで理解できるならその本はおそらく良書です。近代哲学はドイツ観念論実存主義などの難しいエリアだからです。

もちろん簡単すぎる表現のものはアウトです。

 

●まずは哲学史を読もう

哲学者自身の著書をはじめに読むのは自殺行為です。あらぬ勘違いをする可能性が一番避けたいことです。

そこで『哲学史』です。実は現代哲学者でさえ、アリストテレスの影響を受けていたりします。たとえば一時有名になったマイケル・サンデルさんもその一人。善に関することで大きな影響を受けました。

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だからいつの時代の人の哲学を理解するにも昔の哲学は役に立ちます。

「あれ?この考え、あの人と同じじゃん。似てるじゃん」

と思うことが実は一番多いんです。学べば学ぶほど新しい考えはなくなっていきます。

以下は哲学史のおすすめ本です。

 

 

 

レベル1 世界史的理解と哲学的理解の入門として。 

哲学 (基礎講座)

哲学 (基礎講座)

 

 

これは看護師用に書かれたもの。

よって言葉も比較的平易で、つまずくことはないでしょう。

ただ、最後のページがヴィトゲンシュタインということもあり、最新の哲学は書かれていません。

歴史的な理解がしやすく、初めて哲学に触れるという方にもオススメ。

 

 

 

レベル3 より深く学ぶために 

概念と歴史がわかる 西洋哲学小事典 (ちくま学芸文庫)

概念と歴史がわかる 西洋哲学小事典 (ちくま学芸文庫)

 

 

科学と宗教のことも項目を設けて語られており、哲学史の総合的な理解が可能。

最後のページはシステム哲学についてなので、最先端の哲学を学ぶことはできません。

しかしその土台としては十分な詳しさだと思います。

哲学者の哲学の意義なども語られます。

しかしところどころ言葉が難しいのが難点。

 

 

 

レベル2 哲学者の哲学を理解するために 

西洋哲学史―理性の運命と可能性

西洋哲学史―理性の運命と可能性

 

 

時代ごとに章で区分され、その中で哲学者ごとに区分けされていて読みやすい。

哲学用語も説明がなされています。

歴史も、哲学も、わかりやすさも求めるならこれ。

これが一番オススメです。

 

 

え?もっとマニアックなの?

↓ 

 

高いし、良くも悪くも濃い内容。哲学思想を理解する以上にヨーロッパを理解することにつながりそうな濃さです。

内容を巡って他の哲学者から非難される対象にもなりました。

しかし数学者でもありますから、歴史的哲学者を切れ味よく切り込んでいきます。

1950年にはその著作群を評して、ノーベル文学賞が贈られた人です。

 

●最後に

 常々、日本は哲学のように根本を考えようとしないと思っていました。哲学がブームになったときも道徳的な問題にしか発展しませんでした。

マイケル・サンデルさんが来日して講義してもそれは東大の中で行われたのであって、日本中にムーブメントが広がるわけではありませんでした。

 それでも哲学は個人個人の考えの構築の仕方を知ることができます。

少しずつでも読みこなしていくのは有用だと思います。

私も間違いを犯しながら読んでいて、わけがわからなくなることもあります。

しかし、現実の事柄や学問、科学技術などに疑問を問う、ブレーキをかけるのが哲学の役割だと思っています。